■新型インフルエンザ大流行の兆し 記事詳細  
 
  真夏に死者や重症者が続発し、ついに本格的な感染拡大が始まった新型インフルエンザ。圧倒的に多いのが、児童、生徒の集団感染だ。夏休みの子どもたちをどう守るか。東海地方のスポーツクラブや学習塾、野外施設などの対策を聞いてみた。

 2000人の会員が通う名古屋市南区の名古屋スイミングクラブは、急きょ会員に「お知らせ文」を配布した。これまでは各会員の判断に任せていたが、「感染の疑いや家族内の感染が分かった時はクラブを休むように」と要請。入り口にもお知らせ文を張り出し、徹底を図る。

 愛知県岡崎市のスイミングスクールは、集団感染が起きた小学校に通う児童にレッスンの参加自粛を呼びかけた。岐阜市の岐阜スイミングクラブも、7月から感染者が出た学校に通う児童に対し、学級閉鎖中は参加自粛の措置を取った。

 夏休みに勉強に励む受験生らへの感染も心配される。

 全国に160校を展開する学習塾の名学館(名古屋市昭和区)は各校に消毒液を置くなどの対策をとるほか、「講師にも体調管理に注意をうながしている」という。愛知県一宮市では市立図書館などに消毒液を設置。担当者は「本格的な流行に備え、窓口で手洗い、うがいの励行をさらに呼びかける」と気を引き締める。

 野外施設も対応に神経を使っている。

 子ども向けの自然体験プログラムを実施している愛知県豊根村のNPO法人「とみやま交流センター」は保健所と相談し、新型インフルエンザに感染していた子どもには参加時期を遅らせてもらった。

 三重県紀北町のオートキャンプ場「キャンプinn海山」では、受付カウンターに消毒スプレーを置き、「体調に異変を感じたら、すぐにスタッフへ相談を」と利用者に呼びかけている。

 愛知県内で集団感染が疑われる患者数は、10〜16日の1週間で194人。このうち182人が学校の部活動、水泳教室などの場所で発生した。岐阜県では、集団感染のみの把握に切り替えた7月下旬以降で、45人の患者のうち高校生以下が35人を占めた。三重県では20日までの10件の集団感染のうち、7件が保育園や小学校、学習塾などで発生している。

2009.8.21中日新聞朝刊より
 

 
 
2009年08月21日