■南海トラフ巨大地震の被害想定 死者最悪32万3000人 記事詳細  
 
  被害想定では津波からの早期避難や住宅の耐震化などが確実に行われた場合、死者が数分の一に激減するとの試算も公表した。減災効果を具体的に示すことで、巨大災害に立ち向かう姿勢を国民に促す狙いがあるが、実現には多くの課題が山積している。
試算では、地震発生から10分後に住民の2割が避難する場合と、全員が避難する場合を設定。さらに、昭和56年に強化された新基準による全国の住宅の耐震化率を現状の79%から、100%に引き上げた場合で比較した。

 この2つの減災措置が実行された場合、最悪のケースでの死者は約32万3千人から約6万1千人に激減するとした。効果は劇的で、完全実施に至らなくても耐震化や早期避難の徹底が前進すれば、犠牲者数や住宅の全壊棟数は減少につながる道筋を示した。

 内閣府が3月に津波高の暫定数値を公表した際、あまりの巨大さや到達時間の短さなどから、地元で対策をあきらめる声が出た。内閣府の藤山秀章参事官は「条件は厳しくなっても防災対策が無駄になることはない。あきらめずに正しく恐れてほしい」と訴える。

 ただ、今回の想定は新幹線や超高層ビルなどの被害は考慮しておらず、すぐに避難できない高齢者や病人、高台が少ない平野部での有効な避難方法のめども立っていない。

 短時間で巨大津波が襲う事態は既存の手法では対応できず、津波から避難するシェルターや「箱舟」の開発など新たな対策も検討されている。

産経新聞より


 

 
 
2012年08月29日