■「置き配」トラブルどう防ぐ 荷物がない、盗まれた? 個人情報漏れそう 記事詳細  
 
   新型コロナウイルスの感染拡大を受け、宅配業者が荷物を手渡しせず、玄関前など指定の場所に置いて届ける「置き配」が増えている。一方で、本紙の読者からは「盗難などが心配」という声も。最近は防犯対策を施した専用グッズが開発されている。通販の利用前に商品の配達方法を確認しておくことも大切だ。 (吉田瑠里)

 本紙に相談を寄せた愛知県の女性(49)は「コロナ禍で人との接触を避けるため、インターネット通販を利用する機会が増えた」と言う。国によると、ネット通販など物販系の電子商取引(EC)市場は昨年、前年より二割増加。昨年度の宅配便の取扱個数は過去最多の四十八億個に達した。

 置き配に対応する宅配業者は増えている。日本郵便は、不在時も荷物を受け取りたいとの声に応え、二〇一九年三月からネット通販の荷物を玄関先や車庫など指定場所に届けるサービスを始めた。ヤマト運輸は昨年二月、国際宅配便以外の荷物について、客が在宅時に限り、玄関前などに置いて非対面で受け取れるサービスを導入。同年六月からはファッション通販大手ZOZO(ゾゾ)など一部の通販の荷物を対象に、不在時でも置き配を行うようにした。

 一方で、国民生活センターなどには緊急事態宣言が発令された昨年四月以降、置き配に関する相談が急増し、先月までに八百件余り寄せられた。「配達が完了したとの通知がスマートフォンに送られてきたが、商品が届いていない」という内容が目立ち、「配達した、と他人の家の写真が送られてきた。個人情報を見られるのが心配」との相談もあった。

 「意図せず置き配になっていたという相談もある」と同センターの担当者。ネット通販では、玄関への置き配が初期設定となっている場合もあるため、注文画面で配達方法を確認するよう呼び掛ける。置き配後、荷物を手にするまでの時間が長くなると、紛失や盗難、汚損の危険が高まる。届いた荷物を置きっ放しにしない意識も必要だ。

 万が一、トラブルが起きたらどうなるか。通販会社によって配送後の対応は分かれる。大手のアマゾンジャパンは「紛失が発生した場合、基本的に商品の再送や返金で対応する」と説明。ゾゾは十月、配送完了後の商品の紛失や汚損などの損害に責任を負わないと規約で定めた。一方、日本郵便は置き配の荷物が盗まれた場合、購入代金などを一万円まで補償する保険を導入。今月からオンライン書店「楽天ブックス」で利用できるようにした。

 個人情報の漏えいを防ぐことも大事だ。ヤマト運輸は六月から、配送伝票上の住所や名前、電話番号を伏せ字とし、届け先の名前だけをQRコードで確認できる形の伝票を導入。現在はゾゾの荷物が対象で、担当者は「荷物の箱を捨てる際、情報が記載された伝票をはがす手間もなくなる」と話す。

 玄関前に置き配用の袋や箱を用意しておくのもいい。東京のベンチャー企業「Yper(イーパー)」が開発した盗難対策付きバッグ「OKIPPA(オキッパ)」は玄関ドアなどにワイヤで固定し、配送員が荷物を入れて施錠する仕組み。購入後、専用のスマホアプリから無料で登録すれば、盗難された場合に五千円までが金券で補償されるほか、最大三万円が補償される有料サービスもある。

東京新聞より
 

 
 
2021年11月11日