■防衛省、サイバー攻撃の対処人員2万人に拡充…中露念頭に「能動的サイバー防御」強化 記事詳細  
 
  自衛隊のサイバー防御抜本強化のための具体策が5日、明らかになった。2027年度までに、サイバー攻撃に対処する人員を2万人規模に拡充し、サイバー防衛隊を中心とする専門要員を4000人規模とする。複数の政府関係者が明らかにした。

【図表】内閣官房に新設される「サイバー防御の司令塔」の運用イメージ

 防衛省によると、自衛隊のサイバー対処要員は現在、3月に発足した「サイバー防衛隊」約540人と、陸海空各自衛隊の専門要員合わせて約890人。23年度から5年で同隊などの専門要員を4000人規模に拡充する。

 同省では、23年度に陸上自衛隊の通信学校(神奈川県横須賀市)を「陸自システム通信・サイバー学校」に改編し、指導役を担うサイバー教育部を新設する。陸海空の各自衛隊から人材を受け入れ、専門知識を教育する。

 同校では、サイバー防衛隊のような専門要員以外にも、陸海空の各自衛隊のネットワークシステムなどを使用する隊員らを対象に、サイバー対処の基礎知識の講習を行う。約1万6000人のサイバー攻撃対処要員を育成する予定だ。

 政府は、月内に改定する国家安全保障戦略に、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的なサイバー防御」(アクティブ・サイバー・ディフェンス)を可能にする能力の保有を明記する。防衛力のあり方を規定する「国家防衛戦略」(仮称)と、自衛隊主要装備の数量などを示す「防衛力整備計画」(仮称)には、自衛隊の体制強化を明記する見通しだ。

 政府は、サイバー防御の一元的な司令塔組織を創設する方針だ。サイバー防衛隊員は同組織の兼務とし、インフラ(社会基盤)を含めた民間企業への支援を行う。将来的に、敵国のサイバー攻撃を平時から監視し、有事には、サイバー攻撃もできる方向で政府・与党で検討しており、近く合意する見通しだ。

 ロシアによるウクライナ侵略では、武力攻撃にサイバー攻撃などを組み合わせた「ハイブリッド戦」が展開された。ウクライナは民間企業の支援も得て対策を強化し、インフラへの攻撃を防いだ。

 中国のサイバー部隊は約17万5000人、北朝鮮は約6800人、ロシアは約1000人とされている。台湾有事発生の場合には、中国のサイバー攻撃が、台湾だけでなく、日本にも及ぶ可能性が想定されている。

2022.12.6読売新聞ニュ−スより
 

 
 
2022年12月06日