■3月25日パスポートのオンライン申請、27日から 外務省、17年ぶり再開 記事詳細  
 
  海外旅行や出張、留学などに必要なパスポート(旅券)の申請が27日から再びオンラインでできるようになる。外務省は2004年にオンライン申請のシステムを導入したが、手続きが煩雑で利用件数が伸び悩み、06年に受け付けを停止した経緯がある。本人確認に使うマイナンバーカードが普及したことや、オンラインでの行政手続きへの理解が進んだことなどから、同省は「今回は多くの利用が見込めるはずだ」と自信をのぞかせている。

 オンライン申請ができるのは、パスポートの有効期間が残り1年未満となった人か、入国スタンプの押印などに使われる「査証欄」の残りが見開き3ページ以下になった人のいずれか。申請には有効期間内のパスポートとマイナカード、マイナカードを利用するためのアプリ「マイナポータル」をインストールしたスマートフォンを用意する。アプリでログインして顔写真の撮影や氏名の入力などを行う。パスポートの更新をする場合、これまでは申請の際と受け取る際の計2回、都道府県が設置した窓口に行く必要があったが、オンラインだと受け取り時の1回のみとなる。

 外務省は04年3月にもオンライン申請をスタートさせたが、利用には住民基本台帳カードやカードリーダーなどを用意しなければならず、戸籍謄本の郵送か窓口への持ち込みも必要だった。システム維持に年間8億円以上をかけたにもかかわらず利用者数は伸び悩み、06年9月に受け付け停止されるまでのオンライン申請はわずか310件。当時、1年間にかかった経費と申請件数から「1冊当たりの費用は1600万円」などと報じられた苦い経験がある。

 今回、外務省がオンライン申請導入に「再挑戦」する背景には、本人確認とマイナポータルの利用に必要なマイナカードの普及が進んだことがある。住民基本台帳カードの累計交付枚数は06年度時点で約141万枚だった。一方、マイナカードの申請受付数は今年3月時点で約9546万枚に上り、人口に対する割合は75%を超えた。外務省の担当者は「カードを持っている人の割合から考えれば、オンライン申請を選んでくれる人は相当数いるのではないか」と期待を込める。

 今回始まるオンライン申請の手数料は窓口での手続きと同額で、10年間有効のパスポートは1万6000円▽5年間有効(12歳以上)は1万1000円▽5年間有効(12歳未満)は6000円▽有効期間が同一の新しいパスポートの取得は6000円――となる。

 今後、利用者からの要望が高まりそうなのがパスポート更新の完全オンライン化だ。国際民間航空機関(ICAO)は「パスポートを交付する際、最低1回は直接、本人確認をするのが望ましい」としており、27日に始まるオンライン申請も、パスポートの受け取りのため1回は都道府県の窓口に出向く仕組みとなっている。

 外務省は申請者が窓口に来なくても更新手続きが完結するよう、パスポートを自宅に配達する際に配達担当者に本人確認をしてもらう仕組みや、スマートフォンを使ったビデオ通話で都道府県職員が本人確認をする仕組みなどを導入できないか検討している。ただ、「あくまでも検討の段階で、導入の見通しは現時点で立っていない」(担当者)という。

2023.3.25毎日新聞ニュ-スより

 

 
 
2023年03月27日