■3月30日出産に保険適用・多子世帯は住宅ローン優遇…岸田首相が明言、「給付型奨学金」の拡大も 記事詳細  
 
  岸田首相は29日、少子化対策についての読売新聞のインタビューに応じ、子どもを産みやすい環境を整えるため、出産費用を将来的に公的医療保険の適用対象とする考えを表明した。就労要件を問わず時間単位で保育所を利用できるようにする制度の創設や、多子世帯への支援策として住宅ローンの金利優遇措置の導入も明言した。

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 首相は、少子化に歯止めがかかっていない要因について、「若い人たちが将来に対して見通しを十分持てずにいる。出産、結婚は後回しにせざるを得ない現実がある」と指摘、「状況を打開するためには、若い世代の所得を向上させることが重要だ」と述べた。

(写真:読売新聞)

 出産費用は、正常分娩(ぶんべん)の場合、病気やけがに当たらないため、現在は保険が適用されていない一方、原則42万円の「出産育児一時金」を支給する仕組みがある。4月からは50万円に引き上げるが、医療機関の便乗値上げも懸念されているほか、地域や医療機関によって費用に差があることが問題視されている。首相は「出産費用の『見える化』を進め、(医療機関の)サービスと費用の検証を行った上で、保険適用を検討していきたい」と語った。

 働き方による格差の是正に向け、「これまでは共働き世帯に対する保育の受け皿整備、待機児童解消に力点が置かれていたが、これからは全ての子育て家庭に必要な支援をすることが重要だ」と強調。時短勤務者への育児休業(育休)手当の支給のほか、非正規労働者や自営業者の育休についても、新たな経済支援を検討する考えを示した。保育の質を改善するため、「保育士1人が担当する1歳児の人数を6人から5人に減らす」と述べ、配置基準の改善に踏み込んだ。

 出産をためらう一因になっている教育費の負担軽減については、在学中の授業料支払いを免除し、卒業後、収入に応じて返済する「出世払い方式」の奨学金制度の導入に向けて取り組む考えを示した。返済不要の「給付型奨学金」の対象については、2024年度から、多子世帯や理工農学部系の学生には世帯年収380万〜600万円の中間層まで拡大することを表明した。

 政府は31日、子ども政策のたたき台を取りまとめる。その後、関係閣僚や有識者で構成する会議体を設置し、詳細を詰める。6月に閣議決定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)までに、首相が目指す「子ども関連予算の倍増」に向けた財源確保の大枠を示す方針だ。

2023.3.30読売新聞ニュ−スより
 

 
 
2023年03月30日